一般企業法務への対応について

Contents
  1. はじめに
  2. 法務トラブルを防ぐ予防策と緊急対応
  3. 法務トラブルが企業経営に与える影響とは?
  4. 企業法務のトラブルを未然に防ぐ3つのポイント
  5. 緊急時の法務トラブル対応について
  6. 弁護士による「予防法務」と「緊急対応」のサポート
  7. 当事務所がご提供する一般企業法務に関するサービスの具体例
  8. 当事務所の顧問契約について
  9. 弁護士との顧問契約で企業を守る第一歩を

はじめに

この記事では企業法務の予防策と、トラブルが起こってしまった際の緊急対応のポイントを、弁護士としての視点から詳しく解説します。この記事を読むと、企業経営者として必要な予防法務の具体的な手法や、緊急時の対策が明確になります。さらに、弁護士に依頼することによるメリットも理解しやすくなります。法務リスクを減らしたい、企業イメージを守りたいと考えている経営者や企業の管理部門の方は、ぜひ参考にしてください。

法務トラブルを防ぐ予防策と緊急対応

企業法務において、法務トラブルを防ぐ予防策と緊急対応の両面を理解することは、経営者にとって非常に重要です。企業法務に疎いままで経営を進めていると、契約書の不備や従業員トラブルなど、さまざまなリスクが顕在化します。予防法務を意識することで、ビジネスにおける不測の事態を大幅に回避できますし、万が一トラブルが発生したとしても、緊急対応の仕組みがあれば大事に至らず早期解決を図ることが可能です。

当事務所のこれまでの経験から学んだのは、「予防法務を徹底する企業ほど、経営の安定と従業員の安心感が高まる」という事実です。たとえば、契約書チェックやコンプライアンス教育など、基本的な法務対策が行き届いている企業は、取引先や従業員との間で生じるトラブルを早期に発見・解決できます。結果的に、経営者が本来注力すべきビジネス拡大の施策に専念できるでしょう。

また、法務トラブルが起きた場合、早期に弁護士に相談することで損失を最小限に抑えられます。企業法務の問題は時間が経つほど複雑化し、解決までに長い期間や多額の費用を要します。そこで、この記事では、経営者が知っておくべき「法務トラブルが企業経営に与える影響」と「企業法務を未然に防ぐポイント」、そして「緊急時の対応ステップ」について、段階的に解説します。さらに、弁護士が提供できるサポートや、顧問契約によるメリットも紹介します。

法務トラブルが企業経営に与える影響とは?

法務トラブルが発生すると、企業経営にさまざまな影響が及びます。ここでは、経営に与える主な影響を挙げたうえで、その背景にある経営者の課題と、社会からの評価との関係性を整理します。

法務トラブルは企業の業績やブランドイメージに大きなダメージをもたらします。たとえば契約書の不備を放置した結果、取引先との紛争に発展し、損害賠償を請求されることもあります。さらに、従業員との労働契約をめぐるトラブルが起きると、社内のモチベーションが下がり、優秀な人材が流出するリスクが高まります。また、大々的に報道されるような事件・事故に発展すると、企業イメージが著しく毀損され、業績不振に陥る可能性も否定できません。こうした被害を最小限にとどめるためには、企業法務の専門家である弁護士のサポートが不可欠です。弁護士がサポートすることで、不要なリスクを削減し、経営者が安心してビジネスに集中できる環境を整えられます。

また、最近ではコンプライアンス重視の風潮が強まっており、社会や取引先からの視線が厳しくなっているという背景があります。消費者や取引先は、企業の法令違反やトラブル事例に敏感です。特にインターネットやSNSの発達に伴い、情報の拡散速度はかつてないスピードで進みます。企業の法務トラブルが一旦公になると、瞬く間に世間の知るところとなり、経営の根幹を揺るがすほどの大きな打撃を受けることもあります。

こうしたリスクを踏まえ、次の見出しでは「経営者が直面する法務トラブルの現状」や「トラブル未然防止の重要性」について、より具体的に深掘りしていきます。

(1)経営者が直面する法務トラブルの現状

経営者が直面する法務トラブルには、大きく分けて契約トラブル、労務トラブル、知的財産トラブル、コンプライアンス違反などがあります。契約トラブルでは、取引先や業務委託先との契約内容が不明確であったり、曖昧なまま口約束で済ませたりするケースが多く見受けられます。こうした事例では、後になって支払いタイミングや責任範囲に関する争いが生じ、紛争に発展しやすいのです。

労務トラブルの場合は、時間外労働の割増賃金の未払い問題や、パワハラ・セクハラなどのハラスメント問題が顕在化する可能性があります。企業によっては、就業規則が法令に即しておらず、従業員の権利が保護されていないケースもあるのです。こうした労務問題は、企業イメージだけでなく、従業員の士気や採用にも影響を及ぼします。

知的財産の面では、商標権や著作権に関する問題が頻出しがちです。たとえば、ロゴやサービス名が他社の商標を侵害している場合、訴訟リスクが発生します。逆に、自社が持つ商標権やノウハウが流出してしまうケースもあり、企業のコア技術が外部に漏れると、競争優位を失う危険性があります。

これらのトラブルは、一つ一つが重大なリスクをはらんでいます。経営者としては、どの分野にどの程度のリスクがあるのかを把握し、先手を打った予防対策を講じることが大切です。そのためには、企業法務の経験が豊富な弁護士に相談し、経営状況や業界特性に合った形でサポートを受けることが望ましいです。

(2)トラブル未然防止の重要性と企業イメージへの影響

トラブルを未然に防ぐ予防法務は、企業の評判を守る上でも極めて重要です。予防法務が徹底されていないと、万が一のトラブルが表面化した際、ステークホルダーから「この企業は基本的な法令遵守意識に欠けるのでは」と疑われるリスクがあります。企業の評判が落ちると、顧客離れや取引関係の解消など、経営を揺るがす事態に発展することも珍しくありません。

また、予防法務が徹底されると、社内外からの信頼が高まり、結果的に企業のブランド力向上にも寄与します。例えば、従業員に向けて法的ルールやコンプライアンスの重要性を周知徹底している企業は、働く側から見ても「安心して働ける会社」という印象を与えます。その結果、優秀な人材が集まりやすくなり、企業の成長を加速させる要因ともなるのです。

このように、法務トラブルを未然に防止することは、単なるコスト削減や危機回避の観点にとどまらず、企業の評価を高め、さらなるビジネス機会を生む投資的な意味合いも持ちます。経営者がリスクを正確に把握し、適切な予防策を講じることで、企業が得られるメリットは計り知れません。

企業法務のトラブルを未然に防ぐ3つのポイント

経営者が企業法務におけるトラブルを未然に防ぐためには、日々の業務プロセスや社内ルールを整備することが不可欠です。予防法務を成功させるための基本としては、契約書の整備、従業員との法的ルールの明確化、そしてコンプライアンス教育の3点が重要になります。

(1)契約書チェックと管理の徹底

契約書を作成する際は、法律の専門家である弁護士によるチェックが不可欠です。取引の内容に合致していないテンプレートを流用していると、契約の主要な要素が抜け落ちていたり、不要な条項を含んでいたりすることが少なくありません。また、法改正に伴い、契約書の文言を修正する必要が生じるケースもあります。こうしたアップデートを怠ると、当初は問題なかった契約書が、ある時点で不備だらけになっていることもあり得るのです。

さらに、契約締結後の管理体制も見落とせません。契約書がファイルやデータで散乱していると、いざという時に内容を確認できず、社内の意思決定が遅れる可能性があります。定期的な契約書の棚卸しや期限管理を行い、必要に応じて弁護士の助言を仰ぎながら更新・破棄などの対応をすることが大切です。契約書管理システムを導入する企業も増えていますが、システム導入時には運用ルールを明確にし、担当者を指定するなど、運用体制の構築を同時に行うことが求められます。

(2)従業員との法的ルールの明確化

予防法務として、従業員との間で法的ルールを明確にすることも見逃せません。労働条件や就業規則などが曖昧なままだと、残業代の未払いトラブルやハラスメント問題などが起こりやすくなります。経営者が「これは常識で理解しているだろう」と思っていることでも、従業員からは「聞いていない」「承諾していない」と受け止められる可能性があります。こうした食い違いが大きくなると、労働審判や訴訟に発展するリスクがあります。

従業員とのルールを明確化するためには、まずは就業規則の整備が必要です。法令に準拠した就業規則を作成し、定期的にアップデートすることで、従業員との間に明確なルールを設定できます。また、従業員一人ひとりに就業規則や雇用契約書の内容を周知しておくことが大切です。特にベンチャー企業などでは規模が急拡大するため、口頭で済ませていたルールが現場に行き渡らなくなるケースがよくあります。

(3)社内コンプライアンス教育の強化

企業全体で法務トラブルを予防するためには、経営者だけでなく、従業員一人ひとりにコンプライアンス意識を根付かせる必要があります。その手段として、社内コンプライアンス教育の強化が挙げられます。特に情報管理やハラスメント対策、インサイダー取引に関するリスクは、社員の知識不足や誤解から発生するケースが多々あります。

コンプライアンス教育は、研修やセミナーなどで集中的に行う方法や、eラーニングを導入して定期的に学習できる環境を整える方法などがあります。大事なのは、「なぜコンプライアンスが必要なのか」「どのようなリスクがあるのか」を具体的に伝え、社員の当事者意識を高めることです。たとえば、情報漏洩の危険性を事例で示したり、他社で実際に起きたハラスメント問題の事例を紹介したりすることで、身近な問題として理解してもらえます。

経営者の立場から見ても、社員全体がルールを理解し、リスク管理を徹底している企業は顧客や取引先からの信頼度が高まります。

緊急時の法務トラブル対応について

どれだけ予防法務を徹底していても、企業経営には常に「想定外」のリスクがつきまといます。急に取引先から支払いが滞ったり、従業員が不正行為を行ったりと、突発的なトラブルは避けきれない場合があります。その際に、経営者がスムーズに対応できるかどうかで、損失額や企業イメージへのダメージが大きく変わります。以下では、緊急時にとるべき法務トラブル対応のステップを、具体的に紹介します。

緊急対応の成否を分けるのは「初動」と「専門家への相談タイミング」です。例えば、顧問弁護士がすでにいる場合には、電話一本で状況を伝え、適切なアドバイスを即座に得ることができます。一方で、弁護士に相談したことがない状態だと、どの弁護士に頼めばいいのか、費用はどれくらいかかるのかといった情報収集に時間を取られ、問題が深刻化することも多々あります。

(1)トラブル発生時にまず確認すべき事項

トラブルが発生した際にまず行うべきは、事実関係と影響範囲の確認です。問題がいつ、どこで、どのような原因で起きたのかを正確に把握しないまま対応を進めると、的外れな対策に終始してしまうリスクがあります。具体的には、「契約トラブルであれば契約書の有無や条項の確認」、「社内不正であれば関与した従業員の特定と行為内容の調査」、「ハラスメントなら被害者・加害者双方のヒアリング」など、状況に応じて必要な情報を確保します。

さらに、社内外への影響度を早期に見極めることも重要です。例えば、取引先への納品が滞り大きな契約違反につながる場合は、先方と連絡を取り合い、適切な謝罪や補償の交渉を行わなければなりません。一方、内部の不正発覚であれば、社内規定や法令に基づき厳正に対処しつつ、再発防止策を検討する必要があります。こうした一連のプロセスを混乱なく実施するには、弁護士の助言が非常に役立ちます。

(2)弁護士への迅速な相談の重要性

法務トラブルが起きた場合、できるだけ早く弁護士へ相談することが重要です。企業法務のプロである弁護士は、法律的な観点からリスクを分析し、企業がとるべき最善策を提案します。訴訟リスクがあるなら、裁判に備えた証拠の収集や相手方との交渉方針を固める必要があります。

早期に弁護士へ相談するメリットとしては、問題の深刻化を防げる点が挙げられます。例として、従業員が業務上横領を行った疑いがある際、初期段階で弁護士と連携して事実調査を進めていれば、証拠隠滅を防ぎつつ適切な解決方法を検討できます。また、相手方との交渉を有利に進めるための戦略的助言も得られます。

顧問弁護士を持っている企業であれば、相談のハードルは大幅に下がります。顧問弁護士が企業の内部事情を常に把握しているため、トラブルが発生した際にもスムーズに事実確認とリスク評価に移れるからです。実際に、筆者が顧問を務める企業では、ちょっとした問題でも気軽に相談が来るため、手遅れになる前に的確な策を講じられるケースが多いです。

(3)社内関係者との情報共有と対策準備

社内でトラブルが起きた場合、情報共有が不十分だと部門間の連携が滞り、被害が拡大する恐れがあります。特に経営者がリスク情報を一部の幹部だけで抱え込んでしまうと、現場レベルでの対応が遅れ、取り返しのつかない事態になるケースも珍しくありません。したがって、関係部署への連絡や対応策の擦り合わせは早急に行う必要があります。

例えば、製品トラブルであれば品質管理部門や開発部門に情報を共有し、原因の究明や再発防止策を立案することが急務です。労務トラブルであれば人事部門との連携が欠かせませんし、社外ステークホルダーへの影響が見込まれる場合は、広報担当と協力して適切な発信を行うことも重要です。ここで弁護士がサポートに入ると、法的な観点でのアドバイスだけでなく、どのタイミングで誰に何を伝えるべきか、コミュニケーション手段も含めて整理できます。

また、情報共有を行う際には、個人情報保護の観点も忘れてはなりません。内部不正やハラスメントなど、センシティブな案件では当事者のプライバシーに配慮した開示が求められます。過度に情報が漏れてしまうと、逆に企業が訴訟リスクを負う可能性もありますので、弁護士の指導を受けて慎重に進めましょう。

弁護士による「予防法務」と「緊急対応」のサポート

弁護士は、法務トラブルの予防と緊急対応の両面で企業をサポートします。弁護士が企業法務に関わることで、実際にどのようなメリットを得られるのでしょうか。ここでは3つのポイントに分けて解説します。

(1)専門知識によるリスクの最小化

まず、弁護士が持つ法的専門知識は、リスクの芽を早期に発見・除去するために欠かせません。企業が抱える契約や労務、知的財産などの問題点を精査し、どの部分に弱点があるのかを客観的に判断できるのが弁護士の強みです。経営者自身が全てをチェックするには限界がありますし、法改正の動向を常にウォッチして最新の対策を講じるのも容易ではありません。

特に、企業が複数の契約先と並行して取引している場合、契約書の更新や条項の整合性など、見落としがちなポイントが増えていきます。その都度、弁護士のチェックを受ける体制を構築しておけば、いざトラブルが起きる可能性を大幅に下げることができるのです。

(2)トラブル発生時の迅速かつ的確な対応

いくら予防法務を徹底していても、ゼロリスクはありません。万が一トラブルが起きた際、弁護士がすぐに動ける体制を整えておくと、損害を最小限に抑えられます。具体的には、証拠保全や相手方との示談交渉、訴訟の見込みやメリット・デメリットの検討など、多岐にわたるアクションを速やかに進めることが可能です。

経営者にとって、法的紛争は精神的な負担も大きいものです。相手方との折衝や裁判に多くの時間を割かれると、本業がおろそかになり、他のプロジェクトや売上にも影響が及びます。弁護士が代理人として交渉や手続を代行することで、経営者は本来の業務に集中でき、スピーディーにトラブルを収束へ向かわせることができます。

(3)顧問弁護士の活用で得られる安心感

企業法務において「予防法務」と「緊急対応」をバランスよく実践するには、顧問弁護士の活用が最も効率的です。日頃から企業の事業内容や組織体制を把握している顧問弁護士であれば、経営者が抱えるリスクや目指す方向性を踏まえてアドバイスを行えます。その結果、企業の潜在的な課題をより的確に洗い出し、迅速に問題を解決することが可能です。

当事務所がご提供する一般企業法務に関するサービスの具体例

(1)会社設立等

会社設立から、定款・各種議事録の作成、長年提携している行政書士と協働しての登記手続、会社形態の選択・役員の法的責任についてのアドバイス、社内諸規則の策定等を行っております。

(2)一般企業法務

事業に関する法律相談、総務・内部管理・労務に関する法律相談、資本政策に関する法律相談、取引先や顧客とのトラブルに関する法律相談その他、あらゆる法律問題に対応いたします。

(3)契約書作成・審査

企業活動においては、様々な契約書の作成・締結が必要となります。お客様にとってどのような意味合いの取引なのか、相手方との関係性、業界や契約の種類によって起こりやすい紛争など、様々な視点に基づいてお客様とコミュニケーションをとりながら、契約書の作成・審査を行います。

(4)債権回収について

取引先から売掛金などを回収することができず、催促をして支払おうとしない場合であっても、弁護士が法的主張を行って請求することにより、交渉がスムーズに進む可能性があります。
 また、他の債権者の存在や、消滅時効等によって債権が回収できなくなることもあります。早い段階でご相談いただくことによって、最適な方法をご提案することができます。

(5)コーポレート・ガバナンス

日常的なコーポレートアクションや規程整備に関する助言・支援、資本政策に関する助言・支援等、コーポレート・ガバナンスの構築・見直し、取締役会における議案策定・議事録作成の指導、コーポレートガバナンス・コード対応等を支援いたします。

また、当事務所には、社外取締役や社外監査役という立場から、コーポレート・ガバナンスの充実に貢献している弁護士も所属しています。

(6)株主総会指導

株主総会の円滑な運営を行うためには、あらかじめ入念な準備をすることが必要となります。

株主総会における議案策定、招集通知作成、想定問答、リハーサル、IR対応、総会当日の事務局対応等、株主総会全般にわたるサポート・指導を行います。

また、敵対的株主提案がなされた場合における株主総会における委任状勧誘(プロキシーファイト)に関する指導、検査役選任申立て、メディア対応のノウハウも有しております。

(7)社外取締役・社外監査役等

当事務所は、上記業務のほかにも、企業の社外取締役・社外監査役や団体の外部専門委員等として、企業等のサポートを行っている弁護士が所属しています。

(8)企業内研修

ご要望に応じ、企業内の役職員に対して、事業に関する法的問題、総務・内部管理・労務に関する法的問題、資本政策に関する法的問題、取引先や顧客とのトラブルに関する法的問題等に関する社内研修を実施いたします。

当事務所の顧問契約について

企業法務のトラブルを根本的に減らし、予防策と緊急対応を両立するには、顧問弁護士との契約が極めて有効です。企業規模の大小にかかわらず、顧問契約を結ぶことで得られる利点は多岐にわたります。ここでは顧問弁護士を持つメリットや、予防法務が企業の成長に及ぼす効果について解説します。

(1)顧問弁護士を持つことのメリットとは?

顧問弁護士を持つ最大のメリットは、日常的に法的アドバイスを受けられる環境が整うことです。契約書のレビューや就業規則の見直し、社内研修のサポートなど、予防法務に欠かせない取り組みを定期的に行えるため、リスクが早期発見されやすくなります。さらに、新たなビジネスモデルやサービスを始める際に、法的リスクや許認可の必要性などを気軽に相談できる点も大きいです。

また、顧問弁護士がいる企業は、トラブルが起きた時の対応がスピーディーです。すでにお互いの信頼関係があるため、問題発生時に状況を一から説明する手間がかかりません。弁護士側も企業の内情を把握しているため、最適な解決策を即座に提案できます。経営者は安心して本業に集中できるので、結果として企業の生産性や収益性が高まるでしょう。

(2)予防法務が企業の成長を支える理由

予防法務は、単にリスクを避けるだけでなく、企業の成長を支える重要な基盤となります。企業法務の観点から見れば、新たな投資や提携を検討する際に、法的障壁やリスクをいかに回避するかが成功の分かれ道です。顧問弁護士がいれば、契約交渉を行う前にリスク要因を洗い出し、問題があれば事前に修正を促すことができます。

(3)顧問契約が企業リスクを軽減する仕組み

顧問契約の仕組みは、定期面談や都度のメール・電話相談などで弁護士が企業をサポートする形が一般的です。この定期的なやり取りの中で、経営者は法改正の情報や業界の最新動向をタイムリーに得ることができます。また、企業側が抱える課題を早めにキャッチしてもらえるため、深刻化する前に対応策を検討できるわけです。

さらに、顧問契約には「月額料金制」を採用することが多いため、法務コストの予算を計画しやすい利点があります。スポットで弁護士に依頼すると、案件ごとに費用が変動し、経営者が二の足を踏むことも少なくありません。定額制であれば気軽に相談できるので、結果的にリスク情報の早期共有と問題の早期解決につながりやすいのです。

弁護士との顧問契約で企業を守る第一歩を

ここまで、企業法務におけるトラブルを防ぐ予防策と、万が一の際の緊急対応について詳しく解説しました。法務トラブルが起きると、企業経営は大きなダメージを受けるだけでなく、経営者や従業員も多大なストレスを抱えることになります。しかし、あらかじめ予防法務を徹底し、緊急時の対応フローを整備しておけば、こうしたリスクを大幅に減らし、問題が生じた際にも迅速に対処可能です。

弁護士が提供する専門的な知識と経験は、企業法務の「予防」と「緊急対応」を同時にサポートできる強力な武器となります。そして、顧問契約を結ぶことで、経営者は法務リスクを常に把握しながらスピーディーに経営判断を下せる体制を構築できるのです。

(1)企業の信頼を守るための予防策と対応策

企業の信頼を守るためには、日頃からトラブルを未然に防ぐ対策を講じ、万が一問題が起きても適切に対応する仕組みを用意することが不可欠です。具体的には、契約書の管理や従業員への法務教育、社内コンプライアンス体制の強化などを段階的に進めるとよいでしょう。そして、こうした予防法務の取り組みが、企業のブランド力向上や人材確保の面でもプラスに働きます。

また、外部とのトラブルは時間との勝負でもあります。例えば、取引先との紛争や労働問題などは、放置すればするほど事態が深刻化し、収束までにかかるコストも高騰します。弁護士に速やかに相談し、適切なアクションを起こすことで、リスクを最小限にとどめることができるのです。

(2)法務トラブルを防ぐパートナーシップの重要性

最後に、法務トラブルを防ぐパートナーシップとして、弁護士との顧問契約をおすすめします。企業が成長していく過程では、新しい事業領域や複雑な契約が増え、法務リスクも多様化します。顧問契約があれば、日常的にコミュニケーションをとりながら、最新の法規制やリスクを把握し、必要に応じた対策をすぐに講じることができます。

顧問弁護士とのパートナーシップは、安心してビジネスに取り組むための強力なツールといえます。定期的な法務レビューや従業員向けの研修、トラブルが起きた際の緊急対応など、総合的なサポートを受けられるため、企業の成長と安定を同時に実現できます。

Last Updated on 2024年12月26日 by sicoh-law-com


この記事の執筆者:至高法律事務所
事務所メッセージ
社会の課題に対し、私どもは「世のため、人のために尽くすことが、人間として最高の行為である」という理念にもとづき、これまで培ってきた法的技術やノウハウを駆使した創造的な解決策を提供することでこれを解決し、持続可能な人類・社会の進歩発展に貢献するという経営理念の実現に向けた挑戦を日々続けております。そして、「至高」という事務所名に込めた「社会正義の実現」、「社会の最大の幸福の実現」、「持続可能な人類社会の実現」に貢献するという高い志をもって努力をし続けて参ります。

千代田区の顧問弁護士 問い合わせバナー

お問い合わせはこちらから

    企業名*


    (例:○△□株式会社)

    部署名


    (例:○△□部)

    お名前*


    (例:山田 太郎)

    お名前 (カナ)


    (例:ヤマダ タロウ)

    Eメール


    (例:xxxxxx@xx.xx)

    郵便番号


    (例:123-4567)

    住所


    (例:○○県○○市○○町 ○○)

    電話番号*


    (例:00-0000-0000)

    FAX番号


    (例:00-1111-1111)

    お問い合わせ内容

    ご確認

    ご入力の内容はこちらで宜しいでしょうか?今一度ご確認頂き、宜しければチェックを入れて送信ボタンをクリック下さい。


    ご相談のご予約はこちらから TEL:03-5209-3801 受付時間9:30~17:30 至高法律事務所 ご相談のご予約はこちらから TEL:03-5209-3801 受付時間9:30~17:30 至高法律事務所 メールでのお問い合わせ

    「企業経営者必見!!【2024年度下半期】新法・改正法解説セミナー」開催のお知らせ

    【無料・オンライン】「企業経営者必見!!【2024年度下半期】新法・改正法解説セミナー」を8月27日(火)を開催いたします

    セミナー概要

    8月27日(火)無料・オンラインにて開催いたします企業の法律問題に精通した至高法律事務所(所在地:東京都千代田区、代表:園部洋士)は、「企業経営者必見!!【2024年度下半期】新法・改正法解説セミナー」を無料・オンラインで 8月27日(火)に開催いたします。

    2024年度上半期では、労働基準法の改正(労働条件明示のルール変更、裁量労働制の見直し)や改善基準告示法の改正など様々な対応が求められ、下半期でも景品表示法改正や厚生年金保険法・健康保険法の改正などが施行予定です。

    なかでも働き方改革によって労働環境の改善、働き方の多様化が進んでおり、2024年11月より、フリーランス保護新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が施行されます。

    フリーランス保護新法はフリーランスの方々の権限を守り労働環境を改善することが目的の一つとされていますが、フリーランスの方だけではなく、フリーランスと取引を行う事業者側の企業も新法の施行に合わせて現在の契約内容の見直しやフリーランス対応の見直しなどの対応が求められます。発注される側のフリーランス側だけではなく事業者側も新法の内容を把握したうえで、「不公平な条件を提示していないか」「新法に該当する内容の契約を行っていないか」など社内体制を整備することが求められます。

    本セミナーでは、2024年度下半期に施行される法改正について触れつつ、特に事業者に対応が求められるフリーランス保護新法のポイントと対応策について当事務所の神田弁護士が予防法務・臨床法務の観点から解説します。

    オンラインセミナーですので、お忙しい経営者の方々、人事・労務担当者の方々など場所を問わず全国どこからでもパソコンさえあれば参加できるセミナーとなっております。

    皆様の参加を心よりお待ちしております

    このような企業の方は是非ご参加ください

    ✓2024年度下半期の法改正について知りたい方

    ✓法改正で企業が取るべき対応について知りたい方

    ✓フリーランス保護新法の概要について知りたい方

    ✓下請法とフリーランス保護新法の違いを知りたい方

    ✓施行に伴い契約書でチェックすべき項目について知りたい

    講座内容予定(一部)

    ✓2024年度下半期の法改正概要とポイント

    ✓法改正において企業に求められる対応

    ✓フリーランス保護新法の概要について

    ✓フリーランス保護新法を受け企業が今から取るべき対応

    ✓その他(講座内容については諸事情により変更する可能性がございます)

    実施概要

    日時:2024年8月27日(火)13:00~14:00 ※申込〆切は8月26日(月)17時まで

    開催方法:Zoomによるオンライン開催

    ※Zoom の URL についてはお申込みいただいたメールアドレスに送付いたします。

    ※当日はセミナー開始 15 分前からアクセス可能です。

    受講料:無料

    登壇者

    至高法律事務所(東京弁護士会所属)

    弁護士 神田 泰行

    経歴

    2004年 東京大学法学部 卒業

    2006年 明治大学法科大学院 修了(首席)

    2007年~2021年5月 光和総合法律事務所(2012年~ パートナー)

    2021年5月 至高法律事務所参画

    2023年6月 アビックス株式会社取締役(監査等委員)就任(現任)

    2024年2月 株式会社アイリックコーポレーション監査役就任(現任)

    その他非上場会社1社の取締役(監査等委員)及び非上場会社1社の監査役を務める。

    所属:第一東京弁護士会

    弁護士登録年:2007年(新60期)

    メッセージ

    これまでの大規模法律事務所での経験を活かし、知的財産権法、IT関連法務、不動産法務を中心に、各種業法、労働関係、倒産関係、企業再編、役員・従業員の家事事件、刑事事件等、企業法務に関するあらゆる分野において上質なリーガルサービスを提供するよう努めて参ります。

    また、新たな社会・ビジネスの動きに対応できるよう研鑽を行って参ります。

    セミナーに関するお問い合わせ

    至高法律事務所

    TEL:03-5209-3801

    お申し込みはこちらから

    下記Googleフォームまたはお問い合わせフォームよりお申込み下さい。

    https://forms.gle/bwtUFNxsx37xX36m6

    ご相談のご予約はこちらから TEL:03-5209-3801 受付時間9:30~17:30 至高法律事務所 ご相談のご予約はこちらから TEL:03-5209-3801 受付時間9:30~17:30 至高法律事務所 メールでのお問い合わせ

    上場に当たって弁護士を社外取締役に選任するには?顧問弁護士に依頼することは可能ですか?

    弁護士を社外取締役に選任するには?顧問弁護士に依頼することは可能ですか?

    01 コーポレートガバナンス(企業統治)と社外取締役

    コーポレートガバナンス(企業統治)のあり方について、経営陣から独立した社外取締役を複数選任することにより、取締役会の監督機能を強化すべきという見解が近時有力です。日本のプライム市場上場企業においては、独立社外取締役を少なくとも3分の1以上(スタンダード市場上場企業においては少なくとも2名以上)の選任が求められています。日本の会社法では、従来、委員会型の会社を除き、社外取締役の選任義務を課しておりませんでしたが、上記見解を受けて、令和元年の会社法改正で、公開大会社である監査役会設置会社で有価証券報告書提出義務を負う会社に対して、社外取締役の選任を義務づけました(会社法327条ノ2)。この社外取締役の役割(企業統治)を担うものとして、上場企業において法律専門家である弁護士を選任するケースも多いことから、本記事では、弁護士を社外取締役に選任する場合の留意事項についてお伝えします。

    02 社外取締役とは

    「株式会社の業務執行をせず、かつ、当該株式会社ならびにその親会社、子会社及び経営陣などとの間に一定の利害関係を有しない取締役」(会社法2条15号)をいいます。

    「一定の利害関係を有しない」ことの資格要件は概ね以下のとおりとなります。

    当該株式会社自身業務執行取締役等(業務を執行する取締役、執行役、使用人) +過去10年以内に業務執行取締役等であった者 +横滑り規制
    子会社
    親会社等親会社等自身、取締役、執行役、使用人
    親会社等の子会社等②を除く)業務執行取締役等
    取締役、重要な使用人、親会社等近親者(配偶者+2親等内の親族)

    (田中亘「会社法(第4版)」(2023年3月東京大学出版会)233頁から引用)

    したがって、弁護士で上記の資格要件を満たす者であれば社外取締役に選任することができます。実務上も企業法務に精通している弁護士を社外取締役に選任することは、取締役会の監督機能強化の観点からも有用であり、実際に弁護士を社外取締役に選任している上場企業は多数あります。

    03 顧問弁護士に依頼することは可能なのか(日弁連の見解)?

    顧問弁護士は、当該会社の法務面の実情に通じており、取締役会における審議事項について実情を踏まえた問題点の洗い出しや現実的な対応策の検討が期待できるというメリットがあるため、実務上、社外取締役に顧問弁護士を就任させたいというニーズがあります。

    そこで、顧問弁護士を社外取締役に選任する場合には、顧問弁護士が前述の資格要件を満たすかどうかを検討することになります。

    この問題に関して、従前、顧問弁護士が社外監査役を兼任することの可否に関し、顧問弁護士が、監査役の兼任を禁止する「使用人」に該当するか(会社法335条2項)の問題として議論されてきました。すなわち、会社から継続的に委託を受けて法律顧問業務を行う顧問弁護士が従業員と同視されるべきでないかという議論です。

    この点、従来法務省は、民事局4課の回答で、顧問弁護士も旧商法276条(現会社法335条2項に相当)の「使用人」に該当すると解しており、「会社の顧問弁護士である者をその会社の監査役に選任する場合には,監査役就任の承諾を得る際に,顧問契約を解除しておくのが相当である」としていました。

    これに対して、日弁連は、会社の顧問弁護士は独立した業務をしており、「使用人ではなく」、顧問弁護士が当該会社の監査役を兼任することは旧商法276条(現会社法335条2項)には抵触しない、ただし兼任することの妥当性については慎重に配慮せよとの立場をとっています。日弁連の見解は,顧問弁護士は独立した業務であり,会社ないし経営陣に対する従属関係にはないことを基準として考えています。なお、日弁連の見解では、以下の弁護士は、「使用人」に該当するとしています。
    ✓自社に所属して一従業員として働く弁護士(企業内弁護士)
    ✓専属して自社の法律事務のみを行い、他の依頼者からの依頼を受けない弁護士

    また、社団法人日本監査役協会監査法規委員会は,会社法が顧問弁護士の社外監査役就任を特に制限していないことを前提にして,後述の独立性基準を満たしておればその選任に問題はないとのスタンスを示しています(「独立役員に関するQ&A-独立役員届出書提出にあたっての監査役の実務対応-」平成22年2月26日)。

    以上の議論は、経営陣から独立した立場で取締役等の業務執行に対する監督を行うという社外取締役についても同様に妥当しますので、顧問弁護士を社外取締役に選任することも可能である、ということになります。
    ただし、実務上は、従前の法務省民事局4課の回答を考慮して、顧問弁護士を社外取締役に選任する場合には、当該顧問弁護士との間の顧問契約を解除しておくのが相当であるといえます。

    ▼関連記事はこちらから▼

    至高法律事務所の企業法務分野への対応について

    04 上場会社における留意事項(独立役員該当性の問題(独立性の判断基準))

    次に、上場会社においては、社外取締役の独立性については、会社法の社外取締役の要件以外に、後述する東証の独立性基準に抵触していないかを検討する必要があります。
    東京証券取引所(以下「東証」という)では、一般株主保護の観点から、上場会社に対して、独立役員(一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役又は社外監査役をいいます。)を1名以上確保することを企業行動規範の「遵守すべき事項」として規定しています(有価証券上場規程第436条の2)。
    その上で、東証は、「上場管理等に関するガイドライン」において、東証が一般株主と利益相反の生じるおそれがあると判断する場合の判断要素(独立性基準)(「独立役員の確保に係る実務上の留意事項」(2022年9月・2024年1月改訂版))を規定しており、独立性基準に抵触する場合には、その者を独立役員として届け出ることができません。

    また、コーポレートガバナンス・コードでは、「取締役会は、金融商品取引所が定める独立性基準を踏まえ、独立社外取締役となる者の独立性をその実質面において担保することに主眼を置いた独立性判断基準を策定・開示すべきである」(原則4-9)としており、この原則を実施(エクスプレイン)する上場会社は、独立性基準を踏まえて、自社(グループ)の独立性判断基準を策定することになります。
    以上のとおり、東証の独立性基準は上場会社に一律に適用されるともに、上場会社が独自に策定している独立性判断基準は各社によって内容が異なることになります。

    05 顧問弁護士と独立性基準の関係

    顧問弁護士または顧問弁護士が所属する法律事務所の弁護士(以下両者を併せて「顧問弁護士等」といいます。)を独立役員とする場合には、東証の独立性基準のうち「C. 上場会社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家又は法律専門家(当該財産を得ている者が法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所属する者をいう。)」という基準への抵触の有無が問題となります。
    前記「独立役員の確保に係る実務上の留意事項」では、「上記Cに該当し得る場合としては、顧問弁護士等が考えられますが、顧問弁護士等であれば必ず「多額の金銭その他の財産を得ている」者に該当するというわけではありません。」とのスタンスを示しており、顧問弁護士等が直ちに上記Cに該当するものではないとしておりますので、顧問弁護士等を独立役員に選任することも可能です。
    また、東証の独立性基準は、「多額の金銭その他の財産」に該当するか否かについては、具体的基準を明らかにせず、上場会社が判断するものとしております。

    06 「多額」の定量基準

    上場会社がこれを自社で判断するに当たっては、独立性判断基準を策定・開示している他社実例を参考にすることが推奨されます。
    「多額の金銭その他の財産」に該当するかどうかの基準を策定・開示している例としては、以下のような定量基準を示すものが一般的です(「証券代行ニュース No.156」三菱UFJ信託銀行を参照)。
    ✓1000万円以上(超)
    ✓(個人の場合)年間1,000万円以上、(団体の場合)総収入の2%以上
    ✓(個人の場合)3事業年度の平均で年間1,000万円以上、
    (団体の場合)3事業年度の平均で総収入の2%以上

    以上のような独立性基準の策定・開示例を踏まえますと顧問弁護士等を独立役員に選任する場合には、当該弁護士が所属する法律事務所への弁護士報酬の支払総額が上記の定量基準を超えていないことを確認しておくことが必要です。

    07 顧問弁護士と社外取締役についてのまとめ

    以上のとおり、会社の実情に通じた顧問弁護士や顧問弁護士が所属する法律事務所の弁護士に社外取締役や社外監査役を依頼したいというニーズがある場合、上場会社においては独立役員として独立性基準に抵触しないかどうかを検討する必要があります。そして、抵触の有無は、上述した上場会社が策定・開示している独立性判断基準の定量基準を参考に、顧問弁護士等が所属する法律事務所に支払っている弁護士報酬の額が、前述した「多額」の定量基準の範囲内かどうかで判断して行くということになります。
    そして、この定量基準に抵触するような場合には、顧問弁護士が所属する法律事務所でない他の弁護士を社外役員として選任するということになります。
    至高法律事務所では、上場に関するアドバイス等を多数行っており、また、所属する複数の弁護士が上場会社の独立役員に就任しておりますので、独立役員の選任に関するご相談についても対応しております。

    ▼関連記事はこちらから▼

    不正調査・不祥事対応

    ▼弁護士へのご依頼費用はこちらから▼

    弁護士費用

    ご相談のご予約はこちらから TEL:03-5209-3801 受付時間9:30~17:30 至高法律事務所 ご相談のご予約はこちらから TEL:03-5209-3801 受付時間9:30~17:30 至高法律事務所 メールでのお問い合わせ

    株主総会の議事録作成とは?記載事項や必要な場面について弁護士が解説!

    株式会社には株主総会を開催した際には、株主総会議事録の作成と保存が義務付けられています。そのため、議事録に記載する項目や記載する場合のルールなどを知っておくことは重要です。そこで、本記事では、株主総会議事録の書き方や記載すべき事項についてお伝えします。

    株主総会議事録とは

    株主総会議事録とは株主総会を開催した際に、会議概要や議事の流れ・決定事項を記載した書類になります。株主総会議事録は、書面または電磁的記録(ハードディスク・USBメモリー)で作成する必要があります(会社法施行規則72条2項)。

    株主総会議事録は必要なのか

    株主総会を開催した場合には、株主総会議事録の作成が会社法上で義務付けられています(会社法第318条第1項)。

    また、株主総会議事録に記載する項目等についても、会社法に従って作成する必要があり、会社法施行規則第72条第3項には、株主総会議事録に必ず記載すべき事項が挙げられています。

    株主総会議事録の記載事項

    株主総会議事録の一般的な記載事項は下記のとおりです(会社法施行規則第72条第3項)。

    • 株主総会の日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人または株主が株主総会に出席した場合における当該出席の方法を含む。)
    • 株主総会の議事の経過の要領およびその結果
    • 会社法の規定により株主総会において述べられた意見または発言があるときは、その意見または発言の内容の概要

    (具体例としては、監査等委員である取締役による意見などがあります。)

    • 株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役または会計監査人の氏名または名称
    • 株主総会の議長が存するときは、議長の氏名
    • 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
    • 上記の法定記載事項のほか、実務上の任意的記載事項

    株主総会議事録は、商業登記や不動産登記の申請書に添付する場合があります。登記申請書に株主総会議事録を添付する必要がある場合、登記申請書の添付書類として記載の不備が無いように注意する必要があります。

    株主総会議事録への署名

    会社法上、出席取締役の議事録への署名義務は定められていません。また、議事録を作成した取締役の署名義務も定められていません。ただし、株主総会議事録の原本と区別がつかなくなるため実務上は議事録の作成者の記名押印や、出席取締役の記名押印を行うことが多いです。

    議事録の作成や保存を怠った場合について

    株主総会議事録について、株式会社は株主総会の日から10年間、株主総会議事録を本店に備え置かなければなりません(会社法318条2項)。また、株主総会の日から5年間、株主総会議事録の写しを支店に備え置かなければなりません(会社法318条3項)。

    そして、株主又は債権者が株主総会議事録の閲覧又は謄写の請求をした場合には、会社は株主総会議事録を閲覧又は謄写させなければなりません。株主総会議事録が電磁的記録で作成されている場合は、記録された事項を紙面又は映像面に表示する方法で閲覧又は謄写させることになります(会社法施行規則226条1項17号)。

    正当な理由がないにもかかわらず、株主総会議事録の閲覧・謄写請求を拒んだとき(同法976条4号)や議事録を作成せず備え置かなかった場合(同法976条8号)は、100万円以下の過料の制裁を受ける場合があります。

    まとめ

    株主総会議事録の作成期限については会社法上の規定はありませんが、株主総会終了後、できる限り早い期間内で作成されるべきだとされています。ただ、株主総会議事録に記載する項目は会社法で細かく列挙されているため、記載が漏れないように注意が必要になります。株主総会議事録の記載に不備があることで、株主総会での決議について有効性が問われる可能性もあります。至高法律事務所では、議事録の作成・確認など、株主総会に関する各種対応について、多くの実績を有しています。株主総会議事録に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所の弁護士までご相談ください。

    ご相談のご予約はこちらから TEL:03-5209-3801 受付時間9:30~17:30 至高法律事務所 ご相談のご予約はこちらから TEL:03-5209-3801 受付時間9:30~17:30 至高法律事務所 メールでのお問い合わせ