
(1)建設業特有のカスハラ・発注者とのトラブルの対応とは?
近年、「カスハラ(カスタマーハラスメント)」という言葉が広く知られるようになりました。カスハラとは、顧客や発注者が立場の優位性を利用して、過度な要求や暴言・威圧的な言動を行うことを指します。建設業界では、発注者との関係がプロジェクトの成否に直結するため、この問題が特に深刻です。
例えば、「契約にない追加工事を無償でやるよう強要される」「工期の大幅な短縮を一方的に求められる」「担当者に対する人格否定的な発言が繰り返される」といったケースが典型例です。このような行為は単なるクレームの範囲を超えており、企業として適切に対処しなければ、従業員の離職や企業イメージの低下につながります。
対応として重要なのは、まず「記録を残すこと」です。メールや会話の内容を保存することで、後に証拠として活用できます。また、「契約内容を明確にすること」も不可欠です。契約書に記載されていない業務については、安易に応じない姿勢が必要です。
さらに、悪質なケースでは法的対応も検討されます。例えば、不当な要求が繰り返される場合には、不法行為や協力義務違反による債務不履行に基づく損害賠償請求が可能になることもあります。弁護士が介入することで、相手方の態度が改善されるケースも少なくありません。
(2)建設業特有の人事労務の対応とは?
建設業では、長時間労働や現場ごとの人員配置など、特有の労務管理の課題があります。ここにカスハラが加わると、従業員の精神的負担はさらに大きくなります。
例えば、現場監督が発注者から日常的に叱責される状況が続いた場合、うつ病などのメンタルヘルス不調を引き起こす可能性があります。このような場合、会社は「安全配慮義務(従業員の安全や健康を守る義務)」を問われることがあります。
企業としては、まずカスハラに対する「社内方針」を明確にすることが重要です。具体的には、「どのような行為がハラスメントに該当するのか」「発生時の報告ルート」「会社としての対応方針」などを整備します。また、従業員が安心して相談できる窓口の設置も有効です。
さらに、教育や研修も欠かせません。現場担当者に対して、「どこまで対応すべきか」「無理な要求を受けた際の断り方」などを具体的に指導することで、トラブルの拡大を防ぐことができます。
弁護士が関与することで、労務トラブルを未然に防ぐための制度設計や、問題発生時の適切な対応が可能になります。結果として、従業員の定着率向上や企業の信頼性向上にもつながります。
(3)建設業の2024年問題とは?
「2024年問題」とは、働き方改革関連法の適用により、建設業にも時間外労働の上限規制が導入されたことを指します。具体的には、原則として「月45時間・年360時間」を超える残業が制限され、特別な事情があっても上限が定められています。
これにより、従来のような長時間労働に依存した施工体制は見直しを迫られています。しかし、発注者からの無理な工期設定や追加対応の要求があると、現場では依然として長時間労働が発生しやすい状況です。
ここで問題となるのが、カスハラとの関係です。発注者の過度な要求に応じてしまうと、結果として労働時間の上限規制に違反する可能性があります。この場合、企業側が行政指導や罰則の対象となるリスクがあります。
したがって、企業としては、労務関連の法令を守るためにも「応じられない要求は明確に断る」ことが重要です。その際、感情的な対立を避けるために、法的根拠とともに理論的に説明をすることが求められます。
弁護士が関与することで、契約段階から適切な工期設定を行うことや、トラブル発生時に法的観点から適切な説明・交渉を行うことが可能になります。2024年問題への対応は、単なる労務管理にとどまらず、企業全体のリスク管理の問題といえるでしょう。
(4)契約書等の作成及びリーガルチェックで弁護士を利用するメリットとは?
建設業におけるトラブルの多くは、「契約内容の曖昧さ」から生じます。例えば、「追加工事の範囲が明確でない」「責任の所在が不明確」といったケースです。このような状況では、発注者との認識のズレが生じやすく、カスハラの温床にもなります。
そこで重要になるのが、契約書の作成およびリーガルチェックです。リーガルチェックとは、契約書の内容が法的に問題ないか、リスクがないかを専門家が確認することをいいます。
弁護士に依頼することで、例えば「追加工事は書面合意が必要」「不当な要求には応じない」などの条項を適切に盛り込むことができます。また、万が一トラブルが発生した場合にも、契約書が有力な証拠となります。
さらに、相手方との交渉においても、弁護士が関与していることで「法的に整理された主張」が可能となり、不要な対立を避けることができます。結果として、時間やコストの削減にもつながります。
契約書は単なる形式的な書類ではなく、「企業を守る盾」です。特に建設業のように金額が大きく、期間も長期にわたる取引では、その重要性は非常に高いといえます。
(5)建設業に関するトラブルは当事務所までご相談ください
ここまでご説明したとおり、建設業におけるカスハラや労務問題、2024年問題への対応は、いずれも専門的な知識と実務的な対応が求められます。しかし、現場の担当者だけでこれらすべてに対応するのは容易ではありません。
「この要求は断っていいのか」「契約上どこまで対応義務があるのか」「従業員を守るために何をすべきか」といった悩みを抱えている企業様も多いのではないでしょうか。
当事務所では、建設業に特有の事情を踏まえたうえで、実務に即したアドバイスを提供しております。契約書の作成・チェックはもちろん、発注者との交渉、労務問題への対応まで、一貫してサポートいたします。
また、問題が発生してからの対応だけでなく、「トラブルを未然に防ぐ」ための体制づくりにも力を入れています。早い段階でご相談いただくことで、リスクを最小限に抑えることが可能です。
建設業におけるカスハラや法的トラブルでお困りの際は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。貴社の事業を守り、安心して業務に専念できる環境づくりを全力でサポートいたします。
Last Updated on 2026年4月22日 by sicoh-law-com
![]() この記事の執筆者:至高法律事務所 |
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